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放射線測定器について 1
 
 平成23年6月11日 改訂
平成23年6月 1日 改訂
平成23年5月25日 初稿
放射線測定器の違いについて

どうして、国は地上50cm〜100pを測定するのか。
どうして、国は地表の放射線量は測定しないのか。

2011年5月初旬現在、この疑問が一番多い様に思われます。
放射線量を測定する場合、放射線測定器の原理性質を知る必要があります。
つまり、測定方法を考える前にやらなければならない事があると言う事です。

国が地上50cm〜100pの空中放射線量を測定することを統一するにあたり、今まで紆余曲折した形跡が伺えます。

理由は、放射線量測定値の信頼性の評価が簡単ではないからなのです。

結論を先に示します。

私たちが正しくそして信頼される放射線量を読み取ることが出来る条件と、さらに今後信頼されるデータとして見て貰える条件を推薦し、そして提案します。

(1)放射線測定器は、シンチレーション検知器(NaI or CsI)、または、エネルギー補償機能が付いたGM管検出器を用いて、地上から50cm〜100pのγ 線を測定し、1回の測定時間を1分以上にすること。

(2)側溝や堀など水が溜まりやすい場所や子どもたちが座って遊ぶ場所など、特に危険と予測される場所や危害を受けやすい子どもの行動範囲を重点的に測定されていること。

これが、いま私たちが入手できる測定器で信頼できる値を得るための精一杯の条件でしょう。

次に取得したデータの比較と扱いについて。

測定値は、WHO(世界保健機構)の年間被曝線量と常に比較し、安全性を考えるべきでしょう。この基準を超えた場合は、様々な工夫を施す必要があります。けれども、危険だからと言って私たちは勝手な判断で側溝や堀などの土や泥を処分しない様に心掛けなればならないでしょう。

基準値を超えた場合、法に則った様々な対応のマニュアルが、すぐに国から提示されるはずです。原則はそれまでは行動に移すことを待つべきでしょう。
けれども、チェリノブイリ原発事故の避難区域が年間5mSvです。国の指示を待っていられない状態であることも確かです。

インターネットやテレビなどの様々なメディアや公演会や、勉強会で得られた知識や情報を整理精査をして対応することも、私たちがこれから考えなければならない対処法への一歩となります。

単に国の安全基準を批判するのではなくて、私たちは、地域に則した更なる安全を提案して行けば良いのです。
自分たちの安全を自分たちで管理することに、誰が批判をするでしょうか。

では本題へ。

放射線測定器の原理性質を簡単に説明します。
まず、ガイガーカウンタが放射線測定器の総称ではありません。放射線測定器は、ガイガーカウンタから、サーベイメータへと呼び名が変わりつつあります。

最初に、検出器が「電離箱」タイプについて。

一番単純な構造の検出器です。中国製が多いようですが、価格が5万円前後で市販されているようです。
「外より室内の畳の方が、高い値を示しているぞ」と、現在大騒ぎしているのがこのタイプです。

例えるならば、手の上でお砂糖0.1gあるかどうかを測っているようなものです。精度は、ほとんどありません。測定器が示す値は目安だけに利用してください。数値の大小に意味はありません。

次に、検出器が「GM管」タイプについて。

ガイガーミュラー計数管と言う表記もあります。日本製とアメリカ製が多いようです。一般に、ガイガーカウンタと呼ばれるのがこのタイプです。価格は、5万円前後〜50万円前後までと幅があります。

価格が高ければ良いと言うものではありませんので、気を付けてください。
と言う事は、これも駄目なのかと問われれば、はっきり言って駄目だと思います。原理的に放射線量と測定値が比例しないと言われているのです。なお、エネルギー補償の機能が付いているタイプは別となります。

例えて言うなら、みなさん家の台所にある量りぐらいの精度でしょうか。この量りでは、0.1gは測れないし、10kgも無理です。
つまり、量れる範囲がとても狭いのです。

私たちが要求する0.01μSv/h〜10μSv/hの測定範囲をGM管検出器では、全く対応出来ていないのです。そして、どの程度の範囲が読み取れているのかさえ定かではありません。これが、測定値と放射線量が比例していないと言う意味です。

さらに、GM管ではこのちょっとだけ正確に読み取れるのはβ線だけです。α線やγ線も測定できるとありますが、GM管では、有るか無いかが分かるだけです。

表面を測定して、放射性物質が有るか無いかを調べる目的なら「電離箱」に比べれば数段良い検出器でしょう。また、1mSv/hぐらいの強い放射線量を測定する場合も有効です。

但し、エネルギー補償が出来るGM管検出器(ガイガーカウンタ)があります。この場合、シンチレーション型と同等の精度があることを確認しました。このタイプもお勧めとなります。価格の目安は、およそ33万円とやや高めとなります。

最後に、検出器が「シンチレーション」タイプについて。

価格は、13万円〜55万円と、やはり幅があります。
日立アロカメディカル株式会社製ポケットサーベイメータ PDR-111を基準に探すことをお勧めします。このタイプは、20μSv/h以下であれば非常に正確に測定できる能力があります。
他には、HORIBA社製環境放射線モニタ PA-1000 Radi、クリアパルス社製A2700型 Mr.Gammaエステー社製エアカウンター などがあります。

このタイプは、空中線量のγ線を測定するのに適した測定検出器となります。γ線を測定する場合、検出部がNaIまたはCsIになります。

CsIならば、25万円前後で入手できるようです。
お勧めはこのタイプとなるでしょうか。

他に55万円と高価ですが、検出部を変える事でα線、β線、γ線と調べることが出来るタイプもあります。

そして、ここからがとても大事です。

この検出部で地表を測定すると、現状の土壌中には放射性セシウムがあるので、β線が放出されています。
このβ線はγ線にくらべエネルギーが強く、γ線を押し退けてしまい正確な値を示してくれません。

例えて言うと、台所の量りに人が乗ってしまったようなものです。
だから、地上50cm〜100pぐらいを測定することが大事なのです。

なお、使用にあたり、検出部のNaIやCsIは吸湿性があるため透明ビニールに包むと検出部の劣化を防ぐことが出来ます。雨の日の使用など、測定器が濡れない様にしましょう。

以上、放射線量の測定条件を国が、シンチレーションサーベイメータを用いて、線種をγ線とし、地上50cm〜100pの空中線量に限定した理由です。

決して何かを隠そうとしている訳ではありません。

国は、今ある技術で、正しい測定をしていると思われます。ただし、もっと良い測定方法が開発されたのならば、積極的にその技術を取り入れるべきです。そして、私たちも提案し続けるべきでしょう。

さて、ここからはやや専門的な原理の解説です。

1.電離箱検出器の原理

2.GM管検出器の原理

3.シンチレーション検出器の原理 
文責 たむらと子どもたちの未来を考える会
AFTC副代表 半谷輝己
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