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放射線・放射能について
平成23年6月 1日 改訂
平成23年5月25日 初稿
学問的と言うより、平成23年5月現在の現実を踏まえた「放射能と放射線の違い」を説明します。

放射能とは、例としてマッチ一本とかマッチ百本を束ねたものと考えて見ましょう。 マッチ一本と百本ではどちらが怖いか分かりますね。放射能は、破壊力(エネルギー)を指します。

数値を示す単位は、人間への影響が分かりやすい単位として、放射能はBq(ベクレル)が使われます。昔は、放射線研究で有名なキューリー夫妻から取ったCi(キューリー)を使っていました。

放射線は、そのマッチから出てきた炎と考えてください。けれどもこの例えだと、マッチに炎を付けなければ大丈夫と思ってしまいますね。放射性物質とは、マッチの炎が付いた状態で、空中や表土に存在し、体内に入ってくるものと考えてください。

数値を表す単位は、(シーベルト)が使われます。
m(ミリ)、μ(マイクロ)は、1Svの千分の一が1mSv。さらに、1mSvの千分の1が1μSvとなります。
つまり、1000μSv=1mSvとなります。

さらに、BqとSvの違いは、外部被曝を表す場合はSv、内部被曝を表す場合はBqと考えても良いでしょう。0.2μSv/hの/hは、一時間あたりと言う意味を表します。

0.2μSv/h × 24h(時間) × 365日 =1.752mSv

結果、1.752mSvが、平成23年5月現在に推測した田村市のおおよその年間被曝量となります。
0.2μSv/hで計算するとWHOの年間被曝放射線量に基準値が、1mSvですから、被曝量はやや多いと言う事になります。

但し、これは、一日中外にいた場合であり、比較して室内の放射線量は遥かに低いので田村市市役所駐車場や常葉行政区駐車場の測定値を前提とするとWHOの基準値を十分に下回っていると言えます。
この事は、田村市や田村郡のほとんどが放射線を心配する必要はないのです。

次に、放射線量をレントゲンやCTスキャンの被曝に例えますが、γ線とX線は、炎の種類と大きさは同じだけど、その発生源がマッチとライターの違いと考えてください。

炎の発生源の種類が違うのがX線とγ線の違いなのです。

今度はこの炎の違い、つまり放射線の違いについて説明します。
放射線は、みなさんもご存じのとおり目に見えることもなく、匂いも音もしません。その種類には、α線、β線、中性子線、X線、γ線などがあります。また放射線は、粒子線と電磁波の二つに分けることが出来ます。α線、β線、中性子線は、粒子線とも呼ばれています。
つまり、粒です。そのため、α粒子、β粒子と呼ばれることもあります。

それに対し、γ線は電磁波であるためその性質が大きく異なります。
簡単に言えば、γ線は波の性質を持つと言う事で、例えると水が作る波と同じです。湖の小さな波は怖くありませんが、台風の時の大波は怖いと言う事です。

なお、電磁波とはすべて恐ろしいものではありません。例えば携帯電話の電波や地デジの電波、テレビのリモコンの赤外線も電磁波です。これらは、危険なものではありません、波の強さで危険度が増すとお考えください。

目安としては、紫外線ぐらいの波長から短くなるほど危険と考えて良いでしょう。電磁波は、波長が短くなればなるほど体の中に入って来て、ついには通り抜けて行くのです。波が短くて強い電磁波が怖いのです。

放射線はいずれも被曝すると大変危険です。だから、性質が異なるものの、危険性が大きいがゆえに、放射線と言う分類に分けられているのです。エネルギーの強さから、α線、β線、γ線、X線、中性子線、宇宙線などが放射線に分類されています。

先ず、粒子であるα線、β線、中性子線について主に説明します。粒子であるためα線、β線は遠くまで飛びません。α線は、紙一枚。β線は1p幅の木の板1枚で遮蔽(しゃへい)できます。遮蔽とは、通過できないと言う事です。

空中では、放射性物質にも因りますがα線は数p前後、β線で数m前後が届く範囲ではと推測しています。そして、遮蔽のために30pの厚さの鉛の壁を必要とされるγ線でさえも数百mでしょう。

この事は、福島第一原発の原子炉で何が起ころうと、原子炉から直接α線、β線、γ線が田村市まで突き進んで来る事は絶対ないのです。

ここで、一番厄介な中性子線について解説します。

中性子線は多量の水だけが遮蔽できます。粒子なのにあまりも小さいので鉛の壁も鉄の壁もコンクリートの壁も簡単に通過します。
この恐ろしい中性子線は、α線、β線、γ線と違って、臨界(メルトダウン)によって初めて発生します。

1999年9月に起きた東海村JCO臨界事故(レベル4)にて、2人の技師が亡くなっています。最大20mSvの中性子線を被曝したと言われており、その恐ろしさは知られていました。なお、ここでの被曝は中性子線ですので、お間違えの無いように。

私はこの中性子線被曝の不安を解消するため、3月19日に千葉県千葉市にある日本で唯一の放射線被曝専門の医療機関である放射線医学総合研究所にいち早く出向き、福島の現状と医療情報を担当医と話し合った理由です。

ちなみに、この場所でスクリーニングを受けたのは私が一番乗りでした。
5月17日現在1,2,3号機のすべての核燃料がメルトダウンしたと言われています。

この時発生した中性子線は、最大でも半径1q以内であっただろうと言う事です。根拠は、もしそれを超えるような高濃度の中性子線が発生したのであれば、すでに原子炉から数キロ先までの動植物に甚大な被害が出ているはずです。
つまり、福島第一原発の周りの植物は2ヶ月経った現在、茶色になっていなければならいからです。

20q圏の強制避難区域、30q圏の緊急避難準備区域の設置の根拠は、以上のような放射線の性質に加え1979年3月に起きたスリーマイル島原発事故(レベル5)後の被害状況を踏まえて決められたのでしょう。

アメリカが示した80q圏外への避難指示は、飛来する放射性物質からの被曝を防ぐための根拠を1986年チェルノブイリ原子力発電所事故(レベル7)のデータを基にしたのです。

ここまでが、原子炉から出てくる放射線による外部被曝となります。

身の回りにある放射性物質からの外部被曝の説明の前に、その原因となった水素爆発と臨界爆発について説明します。

3月12日の1号機の爆発、3月14日の3号機の爆発、3月15日の2号機の爆発は、いずれも水素爆発と言われています。この3度の水素爆発によって、飛び散った放射性物質や放射性汚染物質によって、私たちは現在、苦しめられているのです。

水素爆発は、燃料棒が高温となり核燃料を覆っているジルコニウム合金と水が反応して水素が発生し、それが空気中の酸素と反応したものです。中学校の理科の実験で試験管にマッチの火を近付けてポンと音を立てて燃える実験を思い出して頂ければ分かり易いでしょう。

このジルコニウム合金と水が反応するには、よほどの高温が必要です。かろうじてではありますが冷却が出来ている現在では、この水素爆発の危険性は少ないと思って良いかも知れません。

ここからは、あくまでも私個人の考えですが、もしかすると、1〜3号機にはもうジルコニウム合金がほとんど残っていないのではと推測しています。根拠は、全て燃料棒が溶けてしまったのなら原子炉の底で高温状態であったことは確実で、ならば全て反応してしまったのではないかと予想されるからです。

次に、臨界爆発について。
今後、爆発の可能性は少ないでしょう。

まず、臨界には即発臨界と遅発臨界があります。即発臨界が核爆弾となります。このためには、ウラン235を90%以上の濃度に調整しなくてはいけません。

1,2号機で使われているウラン235の濃度は、4.5%で低濃縮ウランと呼ばれています。つまり、いくらメルトダウンしたからと言って4.5%が90%になることは絶対ないのです。これが、核爆発が起こらないと言う理由なのです。

3号機は、MOX燃料と言って、ウラン235の代わりにプルトニウムを9%使用しています。この場合も同様に低濃度のため即発臨界までは至らないのです。

やはり、核爆発は起こらないのです。

水素爆発と臨界爆発は、今後は可能性が低いと言われています。さらにその危険性を私たちが考えても致し方なく、むしろ、今後は収束していく前提で、目の前にある危険にどう対処した良いかを考えるべきなのです。

次に、現在私たちの身の回りにある放射性物質と放射性汚染物質からの外部被曝について。この場合の外部被曝は主にγ線による被曝を注意しなければなりません。

現在、強いγ線を出す核種は、放射性セシウムと放射性ヨウ素が対象になります。
但し、ヨウ素131(I-131)は、半減期が8日間のため放射線を出す期間が短いので、現時点で問題にする必要はないでしょう。なお、半減期とは放射線を出す勢いが半分になる期間です、放射線を出さなくなる期間ではありません。

これも私個人の推測ですが、1〜3号機には、放射性ヨウ素や放射性セシウムは残っていないのではないかと思っています。出つくしてしまったのではないかと言う推測です。

放射性ヨウ素や放射性セシウムの融点、沸点が低いと言う事がその根拠です。

放射性ヨウ素の融点113.6℃、沸点183.4℃
放射性セシウムの融点28.5℃、沸点668.4℃
放射性ストロンチウムの融点769℃、沸点1384℃
プルトニウムの融点639.5℃、沸点は3230℃

注)プルトニウムは、すべて放射性物質の為、放射性と言う言葉は付きません

ところが、1〜3号機の原子炉の内部の底が2000℃以上になったとしても、上部は意外と低かったのではないかと言われています。
その根拠は、比較的沸点の高い放射性ストロンチウムが現在まで、飯舘村以外でそれほど検出されていないからです。

つまり、放射性ストロンチウムやプルトニウムの存在を心配する必要もなく、更には、今後、原子炉から出て来る新たな毒性の高い放射性ヨウ素や放射性セシウムを心配する必要性も少ないと言うことを意味します。

但し、あくまでも私個人の推測ですので今後も情報に注意しなければならないでしょう。残るは、現在私たちの身の回りにある以下の放射性セシウムとなります。

セシウム137(Cs-137)半減期が約30年
セシウム134(Cs-134)半減期が約2年

私たちは、今後これらの放射性物質と向き合わなければなりません。

これらの物質は、通常は固体ですから、マスクで防ぐことが出来ます。ただし、N95のようなインフルエンザ用のマスクでなくてはいけません。

では、普通のマスクでは役に立たないかと言うと、そうではありません。土ぼこりに付着した放射性セシウムを吸い込むと内部被曝の可能性がありますから、普通のマスクでも役に立ちますので、風の強い日などは装着しましょう。

γ線は、生殖細胞に影響が強く特に注意が必要です。特に子どもには影響が強いでしょう。大人でも、皮膚癌や白内障などの目の疾患を引き起こします。

やはり、WHO(世界保健機構)が示す年間被曝放射線量である1mSv/yの基準値が目安であることを忘れてはいけません。危険だから基準値があるのです。

目の疾患の確定的放射線量は年間15mSv/yと言われています。福島県の多くの地域でこの量を超える地域があることは残念なことです。だからこそ、この数値から目をそらしてはいけないのです。いち早く何らかの対処を施すべきでしょう。

ちなみに田村市は、現時点の予測でおよそ1.75mSv/yですので該当しません。

β線からの外部被曝について。

子どもたちが砂場で遊んだり土いじりや泥んこ遊びは遠慮した方が良いと思います。土や砂を現状のまま直接いじることは、γ線以外にβ線による外部被曝があるからです。校庭や芝生、グラウンドに寝転ぶのも好ましくありません。

側溝など雨水が溜まる場所も危険です。どぶ掃除もしばらく見合わせた方が良いでしょう。安全が確認されるまでは、今しばらく待つことをお勧めします。

どうしてもと言う方は、シンチレーション検出器の放射線測定器にて、正しく放射線量を測定後、数値が高い場合は、肌が露出しない衣服にて、ゴーグル、ゴム手袋を着用し、側溝に溜まった泥やゴミは、ショベルで子どもが寄り付かない場所に移動させてください。

デマや噂に左右されない様に対応するごとが大事です。

国の基準には、土からのβ線による外部被曝は想定されていません。よって、今後はたむら独自に土壌や住居環境の調査をすることも検討しなければならないでしょう。

次に、内部被曝を説明します。

単位は、外部被曝がSv(シーベルト)に対し内部被曝はBq (ベクレル)になります。水道水や野菜の基準値で使います。

呼吸により肺に吸い込んだり、飲料水や牛乳、野菜、山菜、魚、お米など食品から体内に入ることを内部被曝と言います。

外部被曝が主にγ線の影響だけを考えましたが、内部被曝はγ線に加え、α線やβ線の被曝を考えなければいけません。

つまり、危険度が外部被曝の比では無いと言う事です。兎に角、ここからがとても大事なので、注意して読んでください。

内部被曝において、私たちが覚えておかなくてはならない放射性元素を以下に示します。

放射性ヨウ素( I-131 ) β線とγ線を出します。半減期は約8日間。
放射性セシウム( Cs-137) β線とγ線を出します。半減期約30年間。
放射性ストロンチウム( Sr-90 ) β線だけを出します。 半減期約28.8年間。
プルトニウム( Pu-239 ) α線、β線、γ線を出します。半減期約2万4千年間。

次に水道水中での各元素の基準値を示します。

放射性ヨウ素        300Bq/kg  ( 日本 )
放射性セシウム     200Bq/kg  ( 日本 )
放射性ストロンチウム  125Bq/kg   ( EU ) ※日本には基準値がありません。
プルトニウム       1Bq/kg   ( 日本 )

ここでは、毒性の強い順から説明します。けれども、毒性が強くても、現在身近に大量にあるかないか、また、体の中に溜まりやすいかどうかと言う見方もしなくてはいけません。よって、しっかり読んでいきましょう。簡単には、基準値の小さい順に危険となります。

最初にプルトニウムについて。

一般に、一番恐ろしい元素と言われています。理由は、プルトニウムは発癌しやすいα線を出すからです。プルトニウムを肺に吸い込んだ場合、肺癌になる症例が発表されています。ところが、消化系からの体内に蓄積することはほぼなく、被曝の危険性は少ないという説もあります。つまり、飲料水や野菜などからの内部被曝の危険性は、少ないと言う考え方です。

なぜ、説かと言うと、プルトニウムに関しては人類初の事故で、参考データがありません。よって、このような記述になるのです。

また、プルトニウムはほぼ金と同じ重さです。そのため田村市に飛来した量は少なかったと言えるでしょう。原発周辺が被害を受けたことは間違いないのですが、非常に重いと言う性質から、すでに空気中には無いので、ほぼ呼吸からの内部被曝は心配しなくて良い元素と言っても良いでしょう。

けれども、3号機はMOX燃料が使われていました。プルトニウムの量が1,2号機より6.7倍多いのです。3号機の爆発が一番激しかったこと、冷却が今一つ上手くいってない事も踏まえて、今後、プルトニウムが田村市に飛来して来ないと言う確証はありません。よって、今後も注意しなければならない元素の一つです。

放射性ストロンチウムについて。

カルシウムに性質が似ているため、骨に蓄積しやすく白血病を引き起こすことで恐れられています。この元素は、原発の近く以外に飯舘村や浪江町でも検出されました。最高値が32Bq/kgと発表されています。

よって、EUの基準値(125Bq/kg)から見ても、現時点で心配する必要はないでしょう。
ただし、生育期間の長い野菜や動物などは生物濃縮と言って、放射性物質が高濃度になる場合があります。ですから、全く心配がいらないと言う訳ではありません。

放射性ヨウ素について。

基準値は放射性セシウムより低いのですが、この元素は胎児、幼児、児童等、成長期にある学生の場合、甲状腺に蓄積しやすい性質があります。チェルノブイリ原発事故の後に、およそ4000人の甲状腺癌が発症したという報告があります。

と言うより、チェルノブイリ原発事故で、初めて放射性ヨウ素の危険性を人類は学んだと言って良いでしょう。放射能の被害は、子どもたちが一番の被害者になるのです。

但し、半減期が十分に過ぎた現在、心配する元素ではなくなりした。

最後に、放射性セシウムについて。

この元素が今一番身近に存在します。外部被曝でその危険性を説明しました。半減期が30年間という長さからも、これから私たちが一番に注意しなければならない元素と言って良いでしょう。

ところが、内部被曝を考えた場合、この元素は筋肉に多く蓄積するという報告はあるものの、放射性ヨウ素や放射性ストロンチウムにくらべれば蓄積量は少なく、その危険性はよく分かっていません。ただ因果関係が証明されていないだけで、チェルノブイリ原発事故の後に、WHO発表の癌死亡者数が16千件と言う事実からも、注意を怠ってはいけない事は明らかです。
放射性セシウムが皮膚癌、白内障等の原因であることは、明らかなのです。ただ、過敏に反応する必要もないようです。デマや噂に振り回されないよう行政から発表される野菜などの発表に注意してください。

たむらと子どもたちの未来に向けての提案。

私たちが今後考えなければならない事は、ただ安全という言葉だけを発信して人々を信用させるのではなくて、基準値に比べこの作物は何ベクレルなのかと言う数値を示し安全性を主張することが、現在の風評被害を払拭する一番の近道だと思います。放射能と言う言葉を避け、隠すことで人々を信用させることには限界があるからです。

田村市が発表している水道水の放射能量や毎日の空中放射線量の測定値の発表がそうであるように、作物の放射能の数値を示すことは私たち市民の安全と安心につながることは私たち自身が身を持って実感しています。放射能の数値を公開し続けるこの考え方は、現在、福島の食材を要求する多くの人々の要望でもあるのです。

私たちは、この考え方をただ行政に頼るのではなく、行政と協調しながら私たち自身でも管理する方向を模索し行動に移さなければならないのです。

そして、それは急がなくてはなりません。未来を担う子どもたちが待っています。

子どもたちが、「たむらで結婚して、子どもを育てます」と、そう言わせる責任が私たちに大人にはあるのです。
文責 たむらと子どもたちの未来を考える会
AFTC副代表 半谷 輝己
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