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「プルトニウム(Pu-239)とラドン(Rn-222) の比較からの危険性の推察」
 
平成23年10月5日作成
「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性をもつ」
と言われるプルトニウムが福島県内で検出された事が、
9月30日付けで文科省より公表されました。

そこで、この発表に基づき、プルトニウムの危険性の推察を行いました。

結果として、経口摂取、吸入摂取において内部被曝による健康被害は
ほとんど無いと推察出来ました。

以下に、詳細を報告します。

まず、何故、このプルトニウムがこれほど猛毒と言われるのでしょうか。
Pu-239の半減期が約2万4000年と非常に長いにも関わらず、どうしてでしょう。

以前書いたコラム記事に、
半減期が長ければ長いほど毒性は弱まる事を書いています。※1
「半減期が小さいほど多くの放射線を出すために、
比放射能は半減期と逆数の関係にある」と言う考え方です。

ところが、これは同一核種の場合で、核種が異なると話は別になります。
生物学的半減期や蓄積しやすい臓器などを考慮すると恐ろしさは変わるのです。

プルトニウムは、骨と肝臓でそれぞれ20年間と50年間存在するため、
極めて危険と言わざるを得ません。
さらに、プルトニウムが一般にβ線より20倍毒性が強いと言われる
α線を出すことが猛毒と言われる理由でしょう。

そして、Pu-239を吸入摂取した場合の実効線量係数(Sv/Bq)1.2×10−4が、
他の核種に比べ桁違いであるため、その印象を強めています。※2

けれども、私たちの身近にあるRn-222の実効線量係数の
およそ18倍であるとも言えるのです。
プルトニウムが、すべての核種と比較して
何万倍もの毒性があるのではありません。

なお、α線が毒性の一番の理由とすることから、
プルトニウムに関しては、外部被曝の危険性は全く考える必要はないため、
内部被曝だけを考えています。

先ず経口摂取による被曝量を考えてみます。
今回の発表で、南相馬市でPu-239とPu-240の合算で0.23Bq/kgが
最も高い値であったと報告されています。
よって、この数値で検証を試みます。

まず、Cs-137と比較して見ます。
なお、Pu-239とPu-240の存在比率が不確定なため
0.23Bq/kgをすべてPu-239として計算しています。

Pu-239 すべて吸収した食品を摂取したとして、
0.23Bq/kg × 2.5×10-7Sv/Bq=0.575×10-7Sv=0.0575μSv
Cs-137 500Bq/kgの食品を摂取したとして。
500Bq/kg × 1.3×10-8Sv/Bq=650×10-8Sv=6.5μSv

暫定基準値内の放射性セシウムからの被曝と
比較して100分の1の被曝量となります。

さらに、これを口にしたとしても吸収量は、消化管で0.05%程度が吸収され、
残りは体外へ排泄される※3のです。

とすると、
0.0575μSv × 0.0005 × 24h ×365日=0.25μSv/y

となり、年間被曝量の1mSvから遥かに小さい値となります。
よって、経口摂取からの被曝を心配する必要はないでしょう。

次に、吸入摂取した場合。
これは、現在プルトニウムが空気中には全く存在しないこと。
また、プルトニウムが含んだ作物等を焼却した場合でも、
酸化プルトニウムの沸点が3,227℃と極めて高温のため、
空中に飛散することは有り得ません。

よって、この危険性は現時点で心配する必要はないでしょう。

そこで、飛散した当時の南相馬市で検出された量で推察して見ます。
Pu-239やPu-240がどの程度の時間、
空中に存在していたのか等の不確定な情報であるため、
あくまで参考情報として見て頂きたく思います。

ここでは、同じα線を出すRn-222と比較します。
煙草に次ぐ肺癌の原因とされている自然放射性物質です。

日本では、Rn-222の平均濃度が13Bq/m
最大濃度は310Bq/m3 ※4と報告されています。

今回の報告の最高値が南相馬市で15Bq/uより、
これを1m 中として考えてみても、
通常のラドンの被曝と同等だったと言えるでしょう。

つまり、Rn-222から出ているα線によって
私たちが日常被曝し続けている量と同等と言う意味です。

Rn-222は、常に空中に存在しているため、
Pu-239が常に肺の中にある状態と同じと言えるのです。

以上、経口摂取、吸入摂取による内部被曝において、
健康被害に至るような被曝を受けていたと言う事実は無いと言えるでしょう。
文責 AFTC副代表 半谷 輝己
※1 Te-129mとg-110m、そしてI-129の危険性の推察

※2 経口摂取した場合の実効線量(Sv/Bq)※5
Pu-239 2.5×10-7
Rn-222
Ra-226 2.8×10-7
I-131 4.3×10-8
Cs-137 1.3×10-8
 
吸入摂取した場合の実効線量係数(Sv/Bq) 
Pu-239 1.2×10-4
Rn-222 6.5×10-6
Ra-226 9.5×10-6
I-131 7.4×10-9
Cs-137 3.9×10-8

3 Human Health Fact Sheet アルゴンヌ国立研究所 2001年10月

※4 原子力資料情報室(CNIC) ラドン-222
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/16.html

※5 緊急被ばくの医療研修のホームページ  
http://www.remnet.jp/index.html
Rn-222のみ ※4
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