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「自然放射性物質とおっぱい」
 平成23年7月16日作成

厚生労働科学研究班より、
母乳中の放射性物質濃度等の調査結果:108人中7人から放射性セシウムが微量に検出と発表されました。
この調査で、母乳中の放射性物質による赤ちゃんの被曝の危険性が無くなったと言えるでしょう。
福島県民にとって、たいへんほっとするニュースでした。

AFTCではさらに、公表されたデータを分かり易くしてみました。
以下に福島県内の検体だけのグラフを示します。
ご覧のように、ほとんど放射性物質は検出されていないことが一目瞭然です。

ところが、未だに母乳への放射性物質が混入したと言う話が良く聞かれます。
原因は、報道にあったのでしょうか。2011年4月30日 NHKニュースを抜き出して見ました。

タイトルは「母乳から微量の放射性物質」

内容は「福島県や茨城県など、
関東や東北の5つの都と県に住む母親23人の母乳を厚生労働省が調査したところ、
7人から微量の放射性物質が検出されました。母乳について、摂取を制限する国の基準はありませんが、
厚生労働省は水道水についての国の指標をいずれも大きく下回っていることから、
乳児の健康への影響はないとしています」と、報道されています。
この文章を見る限り、報道内容にも問題がありません。

ところが、このニュースを「母乳は安全ではなく危険だ」
と言う認識で受け取った人々がたくさんいるようです。
原因は「微量」と言う言葉にあったのでしょうか。

つまり「検出値が0ではないから危険だ」
「微量でも発癌するかも知れない」と言う誤解を招いているのです。

それでは、福島第一原発事故の前は、どうだったのでしょう。
グラフを見ても分かる様に、
通常、母乳には自然放射性物質であるK-40(放射性カリウム)が10Bq/kgが混入しています。

このK-40は安全な物質なのでしょうか。
K-40もCs-137(放射性セシウム)と同様に、β線もγ線も出ているのです。
どちらも放射性物質には変わりは無いのです。自然放射性物質という言葉が安心感を与えるのでしょうか。

厚生労働科学研究班の調査結果の報告で、
放射性セシウムの検出量を「基準値より遥かに少ない検出量」や「微量」という言葉を選択せず、
「自然放射性物質と同等またはそれ以下」という表現にすれば誤解は無かったかも知れません。

ちなみに、スイカやバナナを多量に摂取すると、K-40はもっと多く母乳に混入すると思われます。
でも、乳児への影響は無いと言えるでしょう。
もし影響があれば、K-40を原因とする症例が身の回りにたくさん見られるでしょうし、
厚生労働省は、遥か以前に妊婦さんや授乳中のお母さんに、
スイカやバナナの摂取制限の指導をしているはずだからです。

厚生労働省は、国民の安全と安心維持するために、昼夜尽力していると思います。
そして、検査技術、情報処理技術の水準の高さは世界に誇れることは明らかです。

ですから、私たちは、彼らが発信した結果をきちっと受け止め、
彼らに余計な仕事を増やさない様に注意事項をきちっと理解し、指導に則した行動をするべきなのです。

震災以後、たくさんの人に接する機会増えました。この国と国民を真剣に憂慮する人々に出会う度に、
このような感想を抱いた理由でもあります。関係者のみなさんは、本当に頑張っています。
彼らを信頼することが、たむらの復興への近道であることに間違いはないでしょう。


追記

このコラムを執筆の最中に、7月12日の読売新聞ニュースが飛び込んで来ました。

「東京電力福島第一原子力発電所の事故後に流通している食品から受ける一般的な内部被曝(ひばく)の量は、
年間0.1mSv/y程度との試算結果が12日、厚生労働省の専門家会議で示された。
K-40など自然な状態で食品に含まれている放射性物質による年間被曝量(約0.4mSv/y)の約4分の1にあたる。

この報告は、国立保健医療科学院の山口一郎・上席主任研究官が試算したもの。
食品検査データの約4割は福島県内のもので、山口研究官は
『汚染が心配されている地域を中心に測定した結果からみても、
食品からの被曝は相当小さいと推定できる』と話している」

彼らの仕事が、どれだけ福島県民に安心を与えてくれたでしょう。
そこには、一分一秒でも早くこの調査分析結果を福島県民に知らせなければと、
連日の徹夜仕事に彼らの思いを感ぜずはいられません。
感謝、感謝です。

 文責 AFTC副代表 半谷 輝己
 
母乳中の放射性セシウム(Cs-134Cs-137合算)
  ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である  
  ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である 
  ※サンプルは、5月23日から5月29日までの25件である
  ※日本の飲料の基準値は200Bq/kgである 
 
 
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