このエントリーをはてなブックマークに追加
「2011年度福島県における水稲の放射性セシウム汚染予測」
 
                                                       平成23年7月29日作成
福島第一原発の事故以降、食品中や飲料中の放射性物質は、
平常時基準値から暫定基準値に移行して私たちの食生活は管理されています。
外部被曝より内部被曝が恐ろしいと叫ばれる以上、誰もが口にするものに神経質になっています。
公的発表や報道の様子から、安全ではあっても安心を得るまでは至っていません。

そんな緊急事態の最中、魚、肉など少量摂取する食品と、
水、野菜、お米などの毎日多量に摂取するものでは、誰もがその扱いを同じには出来ないと捉えています。
少しでも安心を得たいと思いは、
水や野菜からの内部被曝がほとんど無い※1と言う結果が得られている現在、
残るは、水稲(お米)中の放射能量に注目は移りつつあると言って良いでしょう。

 そこで、私たちAFTCは、現在あるデータと情報を精査して、
水稲(お米)の放射性セシウムの汚染の度合いを検証してみました。

さて、水稲と同じイネ科のトウモロコシと放射性セシウムの移行係数が分かっている
カボチャの放射能量のグラフデータを見てください。
福島県内のトウモロコシでは、20検体19件でND、1検体で僅か9.6Bq/kg、
カボチャでは、19検体中17件がNDで2検体が23Bq/kg,12Bq/kgと検出されているだけです。

この量は、自然放射線量(K-40)※3の20%程度です。
つまり、放射性セシウムによる汚染は全くないと言っても過言ではありません。
この事は、水稲玄米の移行係数※4と比較しても、
水稲において放射性セシウムの汚染は無いものと予想されます。

また、※5の表−2の水稲各器官のCs-137の濃度と指数より、
もし玄米に放射性セシウムが混入しても、約70%が糠へ混入する事から、
さらに白米への汚染率は下がるものと予想されます。
もしかすると、白米は、暫定基準値以下ではなく、平常時基準値以下で流通できるかも知れません。

よって、福島県民の日々の食卓に欠かせない福島県産の白米は、
秋の実りの喜びをそのまま受け取ることが期待出来そうです。
ただし、水稲中の放射能量は実測を基に判断されて、
初めて安全と安心が約束されることは言うまでもありません。

なお、今回の比較対象に移行係数の似ているジャガイモではなく、
カボチャを選んだ理由は、7月29日の時点で福島県内のジャガイモは収穫前であるため検査数が無く、
そこで比較的検査数が多く、さらに根が地表に張るカボチャを選択しました。

自然放射能(K-40)の量 ※3
玄米 75Bq/kg
白米  9Bq/kg

なお、K-40は放射性セシウムと同じγ線β線を放出しています。


文責 AFTC副代表 半谷 輝己


※1 AFTC 6月16日現在の野菜中の放射能の考察

※2 環境パラメータ・シリーズ1「土壌から農作物への放射性物質の移行係数」
   財団法人原子力環境整備センター 内田滋夫(放医研)ら。1988,p31.32

※3 出典:安斎育郎「家族で語る食卓の放射性汚染」


※4 表‐1

作物 Cs-137
水稲玄米 0.0278 2.8
カボチャ 0.01110.0073 1.10.7
ジャガイモ 0.02620.00769 2.60.8
サツマイモ 0.03660.00663 3.70.7
サトイモ 0.01140.00465 1.10.5
カブ 0.008040.00769 0.8
タカナ 0.002270.00309 0.20.3

表‐1 Csの農作物への移行係数「土壌から農作物への放射性物質の移行係数」p31

  



※5 表―2

器官 Cs-137濃度 指数*
玄米 57 100
白米 18.4 32
糠(ぬか) 405 711
籾殻
(もみがら
)
99 174
稈(茎) 61 193
上位葉身 107 107
下位葉身 537 537
上位葉鞘 169 296
下位葉鞘 141 247

表−2 水稲各器官のCs-137の濃度と指数「土壌から農作物への放射性物質の移行係数」p32
    *指数は、玄米を100とした時の各器官の値である。

※6 表―3 放射性セシウムの移項係数
1 野菜類
分類名 農作物 科名 移項係数 移項率
幾何平均値 範囲
(最小値―最大値)
葉菜類 ホウレンソウ アカザ科 0.00054 0.054
カラシナ アブラナ科 0.039 3.9
キャベツ 0.00092 0.000072−0.076
[指標値:0.0078]
0.092
ハクサイ 0.0027 0.00086−0.0074 0.27
レタス キク科 0.0067 0.0015−0.021 0.67
果菜類 カボチャ ウリ科 0.0038−0.023 0.38-2.3
キュウリ 0.0068 0.68
メロン 0.00041※ 0.041
トマト ナス科 0.00070 0.00011−0.0017 0.07
果実的野菜 イチゴ バラ科 0.0015 0.00050−0.0034 0.15
マメ類 ソラマメ マメ科 0.012 1.2
鱗茎類 タマネギ ユリ科 0.00043 0.000030−0.0020 0.043
ネギ 0.0023 0.0017−0.0031 0.23
根菜類 ダイコン アブラナ科 0.00080−0.0011 0.08−0.11
ニンジン セリ科 0.0037 0.0013−0.014 0.37
ジャガイモ ナス科 0.011 0.00047−0.13
[指標値:0.067]
1.1
サツマイモ ヒルガオ科 0.033 0.0020−0.36 3.3

(参考) 加工用野菜
分類名 農作物 科名 移項係数 移項率
幾何平均値 範囲
(最小値―最大値)
根菜類 テンサイ アカザ科 0.047 0.0060−0.15 4.7

2 果実類
分類名 農作物 科名 移項係数 移項率
幾何平均値 範囲
(最小値―最大値)
樹木類 りんご バラ科 0.0010 0.00040−0.0030 0.1
ぶどう ブドウ科 0.00079※ 0.079
低木類 ブラックカラント スグリ科 0.0032 0.00040−0.0030 0.32
グースベリー 0.0010 0.00060−0.0014 0.1
※6  表―3 福島県農林水産部 「がんばろうふくしま!」農業技術情報(第7号)平成23年6月7日
          「原子力災害に関する農作物の技術対策Q&A」                      
トウモロコシ中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
7月 
 
カボチャ中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
 6月
 
 7月
グラフ作成者 佐久間 雄嗣
 ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である
 ※厚生労働省発表のデータを基に作成 
 ※各期間において同一地域のサンプルが複数あった場合は、最も高い値のサンプルを採用
 ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である 
  ※グラフ中において値が明記されてない地域は、その期間内に該当するサンプルがなかった地域である 
  ※黄色は日本の暫定基準値500Bq/kgより高く、米国の基準値1,200Bq/kg以下の値である
 ※赤色は米国の基準値1,200Bq/kgより高い値である
 
Back  Top